フランシスコ会訳聖書(『聖書 原文校訂による口語訳』) フランシスコ会聖書研究所 2002年
フランシスコ会聖書研究所による翻訳です。1955年にカトリック公認の日本語訳聖書を作ることが決められ、1956年にはフランシスコ会の聖書研究所が翻訳事業を開始しました。
フランシスコ会訳聖書は旧約聖書から発行され始め、分冊で出版されることになりす。まず『創世記』が1958年に出版され、新約聖書の方は1962年に『マルコによる福音書』が発行されました。その後翻訳が続き、2002年に『エレミア書』の刊行をもってすべての翻訳が完了しています。そして、2011年には旧新約聖書全巻を合本にしたものが出版されました。それ以前にも合本はありましたが、一冊になるまでに50年以上の年月が必要となったのです。
このフランシスコ会訳聖書の特徴は、注や解説がついていることです。これはエルサレム聖書の影響が強いと言えるでしょう。その注や解説の質は高く、注解書の水準に達しているとさえ言われます。しかし、合本に際して、注や解説が多くが削られてしまいました。丁寧な注や解説を求める場合はそれぞれの分冊を見るしかありませんが、一冊の合本の扱いやすさも捨てがたいでしょう。どちらにしても、日本語訳聖書の中で優れた訳の一つであることには変わりません。合本は『聖書 原文校訂による口語訳』として出版されています。