岩波訳聖書 旧約聖書翻訳委員会、新約聖書翻訳委員会 2004年
岩波訳という場合、二つの可能性があります。
一つは関根正雄と塚本虎二によって翻訳されたものです。これは岩波文庫に収録され、「岩波文庫訳聖書」ともいわれています。また、完訳はされていません。
もう一つは旧約聖書翻訳委員会と新約聖書翻訳委員会によって翻訳され、岩波書店から出版されたものです。現在、「岩波訳聖書」という場合、こちらを指すでしょう。
岩波訳聖書は、注や解説が付く分冊で1995年から出版されました。2004年までそれぞれの分冊ごとに翻訳出版されています。その後、2004年に『旧約聖書Ⅰ 律法』、『新約聖書』、2005年に『旧約聖書Ⅱ歴史書』、『旧約聖書Ⅲ 預言書』、『旧約聖書Ⅳ 諸書』がそれぞれ合本化され出版されました。
特徴としては、各書簡ごとに担当者が明記され、注や解説が付いていることがあげられます。しかし合本に際して、削られてしまった部分もあります。また全体としては、教派的統一はなく、学問性強調しています。しかし、『新共同訳聖書』、『口語訳聖書』、『文語訳聖書』、『フランシスコ会訳聖書』はそれぞれに特徴はあるものの、学問的に低い水準とは言えません。それぞれの特徴を踏まえて並行して見るのがよいでしょう。また、岩波訳聖書は、各書簡ごとに翻訳の水準の差や意訳の度合いなどばらつきもあります。